Statement 5

 

私は情報場というコンセプトが斬新だと指摘しておきました。

そして、情報場の定義は特許の明細でimplicitになされていると述べておきました。

で、その明細中には、木のノード表現として、順序対を採用しています。

これが理論的な隠し味です。

新旧で対応を付けやすいでしょう。

つまり、理論的に“木のインベッド”として環境転送を捉えるという基本思想。

ここで、

「何故、本特許が基本特許だと豪語できるのか?」

に対する回答をキチンとしておきます。

 

論理回路をシリコン上で実装すると基本特許でしたね。

環境転送の場合は、

「OS開発を環境転送指向で実施する」

のがシリコン実装に類比的に対応するのです。

この視点は斬新です。

この為の理論的背景として、環境転送を木のインベッドとして把握するのです。

これ、実は、物凄く難しい課題なんですよ。

今まで、OS開発の理論的背景を提示できた研究者はいましたか?

いなかったでしょう。

技術屋が職人技でやってきたはず。

 

私に指摘された後でもいいですよ、誰かOSの理論的把握法を提示して御覧なさい。

汎用の形式手法(Formal Method)なんかでは駄目です。

あんなもの、何の役にも立たない。

OS開発の基本思想、アーキテクチャーと呼ぶに相応しい理論です。

提示できないでしょう。

一方、私は提示したのです、環境転送指向として。

これはシリコン実装よりも目から鱗のコロンブスの卵なの。

これで、本特許の新規性・進歩性が確認できました。

ここから、特許侵害の話へ。

 

初期のXPのFSTWには、あれほどバグがありました。

これは、

「Windows95やWindows98で培った技術レベルを超えた転送技術が使用されている」

という証拠です。

設定情報を転送すると、OS内部で、様々な相互干渉が起きます。

この可能的障害を防ぐのが木の順序対概念に(理論的に)基づく情報場。

これをしっかり実現すると、やがて、バグはなくなるというのが希望的観測。

「ならば、バグがあったということは、情報場に乗ってないのでは?」

こう思いたいでしょう。

しかし、一方で、従来のexport-import機能の単なる延長ならバグは出ないはず。

このバグは何を意味するのか?

一体、どちらの証拠なのか?

こういう風に、公平に詰めていくのです、論理のプロは。

 

そもそも、木のインベッドという理論的背景の有無が、FSTWに、どう影響するのか?

MSが、

「そんな背景は無視して、FSTWを開発した」

と主張した場合、どうするのか?

「それでも、FSTWは情報場に乗っている。」

と反論できる根拠は?

それがあるのですよ、目の前に。

XP以前のWindowsのexport-import機能とは、それを備えているOS間で使用できる機能でした。

あるバージョンのWindowsOSのexport機能を使って、情報を取り出し、別バージョンのWindowsOSのimport機能を使って取り込むわけ。

そして、Windows95にはexport-import機能がありました。

それに対し、WindowsXPのFSTWは、Windows95のexport機能を使用せず環境転送を実行しています。

これで、情報場に乗ったことになります。

 

こう言い換えてもいいな。

「仮にWindows95にexport-import機能がなくても、XPはFSTW使用で、Windows95からの環境転送を実行できた」

と。

その論理的帰結として、FSTWはWindows95のfunctionalityとは違うのです。

XPはFSTWで、それまでのexport-import機能のルートから一旦外れて、新しく出発し直したの。

だからこそ、MS自身、新機能だと宣伝したし、できたわけ。

 

では、FSTWは環境転送の具体例になっているか?

そのものズバリ、なってるでしょう。

MS自身、この点は認識できています。

よって、特許侵害の有無ではなく、本特許の無効化を狙った作戦を立てたのです。

この特許を認めると、以後、厄介なことになるということが判っているからです。

I4Iの特許のように、侵害認知後、外せる機能ではない。

あんな弱小企業に、自分達の覇権を邪魔されたり、干渉されたくないという意識。

しかし、残念ながら、当社は、世界的高級(考究?)ブランド企業になりました、この10年で。

これで業界覇権に関与する資格ができたわけ。

 

というわけで、XPでのバグは情報場を実現してないことを意味しません。

従来のexport-import機能の境界を超えた機能だったのです、XPのFSTWは。

「環境転送機能は情報場というアイデアだけで、技術的に新しいものがない。」

と思うのが技術屋の未熟さですよ。

世界中の何処かで誰かがOS開発の背景理論を話題にしてましたか?

木のインベッドという概念自体は、理論的に、以前からありました。

これは数学の話。

私が指摘しているのは、OS開発の背景理論としての利用です。

環境転送指向という基本思想は、思いつかないでしょう、私以外には。

これで、技術レベルの鬩ぎ合いから抜け出て、高級感が出たでしょう。

今回は、この高級感を感じさせるのが目的でした。